しつけについて

子犬を迎えるにあたって

犬を飼うことの意義

犬を飼うということ

犬は人間と同じように「こころ」を持っていて、「うれしい」「悲しい」などの感情は人間とほとんど変わりません。
育て方によっては人間を補佐して、人間のために一生をささげるようなすばらしい犬にもなりますし、人間を襲うような凶暴な犬にもなります。
子犬を正しく育てたら子犬はあなたの家族の一員になって、ご家族の皆様を楽しませ、はげまし、ご家族の結束や調和を高めてくれます。それが家庭犬の「使命」なのではないかと思います。犬はそのようには考えていないでしょうが、犬に愛情をもって育てていけば、その愛情の何倍もの愛を必ず返してくれます。
犬を愛しているあなたは、愛を与えることがあたり前になって、他の人たちにも当たり前のこととして愛を与えられるようになります。だから犬を飼っている人はやさしい人やおおらかな人が多いのではないでしょうか。

 

子犬を育てるときの注意

主従関係を明確に

犬を育てるとき気をつけなければいけないのは、「優しいだけの飼い主の犬は、凶暴になる可能性がある。」ということです。
犬は自分を叱る人がいないと、「自分が一番強い、自分がこの群れ(家族)のボスだ。」と判断して、「外敵からこの群れを守らねばならない。」と考えます。
そうすると、家族以外の人は全て「外敵」ですから家族を守るために、となりの人でもワンワンと吠えて威嚇し、噛み付くようになります。さらには自分がボスだと思っているので、自分に従わない部下(家族)を許しておくことはできないから、自分の言うことを聞かない家族を威嚇し、噛み付くようになります。お人好しのご主人と奥様のご家庭でたまに見られます。「ウウゥー」という脅し声を聞いたら要注意です。

 

ご近所で「ものすごく凶暴になってしまったチワワがいるので見てほしい。」と言われて、「少しでもお役に立てれば。」ということで見に行きました。そのチワワが牙を剥いてギャンギャン吠えまくる姿は、猛獣そのものでした。私が口を押さえて強制しても全く効果はありませんでした。私はたいていの犬は手なづける自信があるのですが、このチワワだけはどうにもなりませんでした。

 

こういう犬は外敵がいつ来るかと思って、いつも神経をピリピリと張り詰めていますから、ストレスの連続で、のんびりする時間がありません。犬にとっては結構大変なんです。
このように困った犬にしないためには、小犬のうちに1回は教育的指導としてお尻を強くたたくなどの体罰を伴って厳しく叱って、「自分よりも強い人がいる。」ということを教えておくことは重要なことです。

 

犬を飼ってみると無駄吠えのほかにも「これだけはやめて欲しいし。」ということが、多々出てきます。吠える、じゅうたんの角をかじる、人の足をかじるなど、「このまま成犬になっては困る。」、「やられたくない。」と思う行為は、その場でお尻を叩いて、ビシット厳しく叱ってください。
犬は叱られている瞬間でも人の表情を良く見ていますので、叩くときには厳しい顔で、ためらわずにやります。そのときに「こらっ」とか「だめっ」と言ってやると、その言葉の意味がわかります。数回で言葉だけでも理解できるようになるので、叩く必要がなくなります。たたいた後で「大丈夫かな。」という顔で見ないで、さっさと立ち去ります。

 

これで、無駄吠えや噛み付くなどの行為は減少します。
他の人や、他の犬とのふれあいなど、一般社会の中で「社会犬」として、他のみなさんから「あの犬はすばらしい。」と賞賛されるような犬に育てることは、当犬のためにも大切なことです。そのためにも子犬のときにきちんと叱ることです。
「まだ生後6ヶ月ですが、ぜんぜん叱る必要が無くなりました。すごくいい子です。」という、うれしい知らせもいただきました。
「これはやってもいい。」「これはやってはいけない。」ということをきちんと分けて、だめなことは絶対にやらせない。という態度で接していけば、間もなく叱る必要が無くなるのです。犬はそういうところはしっかりしています。

 

小犬が家庭に入って半月ぐらいは、小犬と家族との信頼関係を作る大切な時期です。この間は一切叱らないで、優しく接してください。
叱られる。ということは、犬にとってはとても大きなショックを伴います。出会いの時期は愛情をたっぷりと注いで、「この人たちが自分の家族だ。自分はすごく愛されていて、幸せだ。」ということを十分に理解させておいてください。「ここがあなたのおうちだよ。私たちは家族だよ。」」ということを、愛情たっぷりで理解させていただけましたら幸いです。

 

 

最近のテレビで「ペットボトル爆弾」を紹介されていました。

 

500ミリリットルのペットボトルに小石を半分入れてこれを、叱る代わりに悪いことをしている犬の近くに投げて落とすのです。「ドカンッガラガラ」というすごい音がするので、犬はびっくりして二度とこの行動をしなくなる。というものです。私はまだ試したことがないのですが、かなり効果があるようです。

 

 

叱ってはいけないとき

 

絶対に叱ってはいけないときが2つあります。

 

1) 「トイレの失敗」のときは絶対に叱ってはいけません。トイレの失敗対策の欄をお読みください。

2) 次は屋外で離れたときです。犬を呼んで自分のところに来たときは、必ず誉めてやります。逃げ出して捕まえたときでも、「私の手元に帰ってきたことを褒める。」ということが大切です。叱ってしまうと、次回逃げたときに「つかまったら叱られる。」と思うので、ますます逃げるようになります。

たとえば交通量の多い道路に飛び出して「危ないから早く戻って!!」という場面で、呼んでもなかなか戻って来ない。飼い主はだんだんにいらいらしてきます。やっと捕まえたときには、どうしても叱りたくなります。でも、「戻って来た事を誉める」のです。そうすればこの次からは呼んだらすぐに戻ってきます。ここで叱ってしまうと、次回からは「戻ると叱られる」と思って戻れずにうろうろして、危険な状態が長引くことになります。

蛇足ですが、都会の夜にうろうろしている若者たちも、「帰ると親に叱られるから、帰れない。」でうろうろしている人が多いのではないでしょうか。人間の子達に対しても、出先でなにがあろうと「帰ってきたことを褒める。喜ぶ。」ということが大切なのだと思います。犬も人間も「心安らぐ場」が家庭です。

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